小菅川で釣りキャンプ

アルマス

2018年08月04日 13:59

2018年8月1日~3日
小菅川は、山梨県北都留郡小菅村にある河川であり、首都圏を縦断する多摩川の源流の一つである。
丹波川と小菅川が奥多摩湖へと注いでおり、奥多摩湖よりも下流が多摩川となる。
小菅村と言えば、ヤマメの養殖に初めて成功した地と言うことで有名だ。
その影響か、当地漁協も放流に釣り場整備にと活発に活動している模様である。

さて、今回は単独お気楽釣行ではなく、家族を連れてキャンプをしながらの釣行である。
キャンプの合間に釣りなんてできるのだろうか?
一抹の不安は残るが、釣りできなかったらできなかったでキャンプを楽しむまでである。
キャンプ地は、ほうれんぼうの森キャンプ場
このキャンプ場はほとんどがオートサイトとコテージであり、テントサイトはわずか2幕分しか無い。
予約サイトを覗くとちょうど空いていたので2泊3日で予約した。
トイレもきれいでシャワーもあり、炊事場かまどもたくさんあって使い勝手が良い。
テントサイトの近くには入って遊べる川もあり、ファミリーキャンプにはオススメのキャンプ場である。

キャンプ場最寄りのインターは大月だが、キャンプの前に旬の桃を味わうべく勝沼まで足を延ばして桃狩りに行く。
太陽を一杯に浴び、枝で完熟した桃はひときわ甘くておいしい。
スーパーなどで買うよりも割高にはなってしまうが、そのおいしさは別格である。
市販されているものは流通のことを考え、どうしても完熟よりも前に収穫してしまうので当然である。





我が子の顔ほどもある大きな桃を堪能した後、晩飯のバーベキュー食材を買いだしてキャンプ場を目指す。
桃狩りに買い出しに、ゆっくりしすぎたせいか到着が遅くなってしまった。
受付でチェックインして釣り券買って、急いでテントサイトへ向かう。
今日は隣に利用者はいないらしく、テントサイトは我が家の貸し切りのようだ。
子供はもちろん妻もキャンプ初心者なので、子供を遊ばせているうちに急いで設営し、晩飯の準備に取り掛かる。
せっかくのキャンプなのでバーナーやコンロは使わない。
焚火オンリーで調理する。
直火は禁止なので持参した焚火台に薪を放り込み、火を起こす。
熾き火になるまでは強火調理で焦げてしまうのはご愛敬ということで勘弁願うことにする。
コゲてても「おいしい」と言ってくれる子供たちが愛おしい。
ファミリーキャンプと言うものも、なかなかいいものかもしれない。

子供が寝た後は、ご褒美焚火タイムである。
何も考えずに揺らめく炎を眺めていると、じんわりと心が癒されてくるのがわかる。
輻射熱によって骨の髄が温められてゆくのも、肉体的にも気持ちが良い。
人類は炎とともに進化を遂げてきた。
遺伝子に、大脳古皮質に、炎のここちよさというものが刷り込まれているのかもしれない。





8月2日
朝もまだ薄暗いうちにのそのそとテントから這い出る人影がある。
そう、釣りである。
誰にも覚られることなく、ささと支度をし、移動を開始する。
キャンプ場周辺はキャッチ&リリース区間であるため、雛どもに朝食のイワナを持ち帰るべく、少し離れた場所まで移動する。
事前に情報を得ていた、カワサバが釣れるという流域に行ってみることにした。

有名なフィールドと言う割には先行者の姿も無い。
河原に駐車場もあり、特にエントリーする場所にも困らずにスムーズに入渓できた。
川幅も広く、快適にキャストすることができる。
渓流釣りを気軽に楽しむには絶好の場所である。

清浄な森で磨かれた、ひんやりとした朝露を孕んだ空気を吸いながらスプーンをキャストする。
なんて贅沢なひとときであろうか。
流れに浸かると、真夏でありながら水はかなり冷たい。
とはいえ、痛いと感じるほどでもなく、渓魚たちにとっては適温といったところか。
なかなか良さそうな流れや淵があるが、台風による増水の影響で流れが結構速い。
miu4.8gオレ金黒/金で探ってゆく。
しかし魚からの反応は無く、なかなか厳しい。
水量が多く流速も早いので、アップではあっという間にルアーが流下してくる。
かといってダウンでいけるかというと、ルアーが浮いてしまいダメである。
このポイントから上流へは歩いて遡上できそうもないので、流れが落ち着く場所を探して下流へ下ることにする。

少し下ってゆくと、スロープ状の堰堤の下流に、流れが落ち着く場所を見つけたので狙ってみる。
流れが効いているのでダウンクロスでキャストし、ボトムからゆっくりとリトリーブするとちょうど良い感じだ。
流芯に差し掛かるところでスプーンが姿勢を崩すように少しテンションを抜いてやる。
その立ち上がり、ガツっと気持ちの良い反転食いがロッドティップを引き込む。
流れを味方にドラグを鳴らし抵抗する渓魚。
小さいながらも、流れの影響でなかなかの引きである。
流れの緩やかな場所へ寄せ、ネットでキャッチ。
イワナである。



続いて流芯から少しそれた、シャローの部分を探ってゆく。
ゆっくりとボトムすれすれで引いてくるとまたもやいいアタリ。
サイズ感は先の個体ほど感じないが、しっかりとドラグを鳴らしてくる。
上がってきたのはヤマメであった。



渓魚たちの美しさの余韻にしばし浸りながら、スプーンをmiu4.8g緑ヤマメ/金に交換する。
美しさ、一体何がそんなに美しいのか。
少し考えてみた。
儚さ、小さな鱗、独特のぬめり感、清涼感から来る感情だろうか。
強いて例えるならば、純水の衣を纏った湧水の妖精といったところか。
イワナも美しいが、特にヤマメのそれは別格である。
渓流に浸り渓魚を手にすると、昂揚感の狭間に何故か罪悪感のような感情を抱くことがある。
それはきっと、妖精の秘められた儚い命を手中におさめてしまった罪悪感なのかもしれない。


ふたたび、流芯側をダウンクロスで探る。
同じように流芯を浮きあがらないようにゆっくりと引いてくる。
3投目、ガツンと強烈なバイトがロッドを伝う。
その刹那、強引にラインを引き込むように走りだす。
これはでかい!
ドラグが高鳴り、胸も高鳴った。
尺はあろうかという大物である。
ドラグを調整し、無理なテンションが掛らないようにする。
流れのせいもあり、なかなか手元まで寄ってこない。
少し手を休めるべくリールから手を離してしまった。
その瞬間、渓魚は見ていたのだろうか?
手前に走り出し、対応が遅れ一瞬ラインテンションが抜けてしまった。
しまった!と思った時は既に後の祭りである。
力無く帰ってきたスプーンは渓流に冷やされ、ひんやりと冷たかった。


時計に目をやると、そろそろ子供たちが起きる頃である。
楽しい時間は過ぎ去るのが速いものである。
食事の支度のためにキャンプ場へと戻り、焚火を起こして体を温めた。


午後は子供を連れて釣りである。
子供が水遊びできる場所を探し、河原に降りてゆく。
水遊びだけじゃダメで、ちゃんと釣れそうな場所を選定したつもりである。
標高1200mではあるが、日中はそれなりに気温が高い。
水に浸かるとひんやりとして気持ちがいい。
子供も服を着たまま水遊びを始め、涼しさにご満悦のようである。

釣りはというと、朝同様に淵は流れが速くて思うように狙えないので、シャローと隣接する流れを攻めてゆくことにする。
朝と同じようにダウンクロスで探ってゆく。
付いていそうな場所を丹念に探ってゆくが、反応は得られない。
少しずつトレースコースを変え、ブレイクからシャローを丹念に探るとひったくるような明快なバイト。
朝のようなヘマはしないよう慎重にやり取りする。
美しい魚体のイワナがネットに滑り込んできだ。



子供も、初めて目にする天然の渓魚に「わぁ、きれいなおさかな!」と興奮気味である。
この歳でこの美しさがわかるとは、素質があるのかもしれない。
記念撮影をしてしてから、そっとリリースする。
スッと泳ぎだすと、あんなに美しく輝いていた魚体は川底の砂利と同化し、瞬時に見えなくなった。





関連記事