雨と濃霧の野反湖キャンプ場
10月3日
野反湖での釣りは天候悪化のため、午前中しか楽しめなかった。
その分、キャンプを満喫しようと考え、早々に準備に取り掛かる。
あらかじめオンラインで予約しておき、当日受付で利用料を支払う。
利用料はテント1張り1500円+1人につき500円、計2000円/泊である。
他にも受付には飲み物や薪などの販売もあり、便利である。
薪を2束購入し、荷物を持ってテントサイト(テン場)へ移動する。
リアカーを無料で貸してもらえるので、雨が降っていても荷物の運搬は割と楽である。
なぜリアカーを貸してもらえるのかというと、何を隠そうテン場までは受付から1km程山の中を歩いた先にあるのだ!
釣りの際、テン場まで行ったので分かるが結構遠い。
リアカーを曳きながら、えっちらおっちら雨で濡れた紅葉の山道を歩いていると、まるで心が洗われるようである。
空気も雨滴に洗われ、実にすがすがしい。
雨なら雨の楽しみを満喫するのもキャンプの醍醐味である。
いつ雨が上がるかも分からないので、なるべく雨の影響を受けない場所を探し、ぱぱっとテントを設営する。
キャンプサイトは平坦な更地ではなく、森の中に無造作に作られたような野趣溢れるスタイルである。
金が無く、採集の際よく山野で野宿をしていた頃を思い出す。
今回、キャンプをしようと思い立った理由は、釣りを満喫したいということもあるのだが、一番の理由はこれを使ってみたかったからである。
「ロケットストーブ焚火缶」
ロケットストーブとは、簡単に言うと、燃焼効率の良い煙や火の粉があまり出ないストーブの事であり、ロケットストーブ焚火缶とは、そのロケットストーブの簡易版のようなものである。
販売元のサイトはこちら http://liftoff.tokyo/shop/takibikan
テントの近くで焚火をすると、煙と火の粉が舞い、最悪テントに穴が開く事態と相成る。
焚火なんかしないでバーナーで料理すればいい。
確かにその通りだし、今までそうしてきた。
もちろん混雑したキャンプ場ではそんなわがままは言わない。
だが、今日のように貸し切り状態のキャンプ場や野宿の際など、焚火で暖を取りながら炎を眺め、ゆったりとした時間を過ごす。
齢のせいか近頃は、効率に縛られないキャンプがしたいと思うのである。
最初は焚火台を考えたが、火の粉が舞うのは直火でも焚火台でも同じである。
ということで辿り着いた焚火缶。
この焚火缶がロケットストーブとしての真価を発揮してくれれば、その悩みが解消するのだ。
本格的なロケットストーブをキャンプに持ち込むのは、手軽さの面から少し抵抗がある。
しかしこの焚火缶は、その簡易性によるコンパクトさが実に素晴らしい。
収納サイズは20Lペール缶1個と、本格的なストーブを持ち込むよりははるかにコンパクトである。
構造が簡易的過ぎて本当に用を為すのか心配である。
見た目はペール缶に煙突を突き立てただけに見え、すこぶる心許ない。
はたしてこれでちゃんとロケットストーブとして使えるのだろうか。
早速貸し切り状態のテントサイトで使いたかったが、雨はより強さを増していたため、調理場のかまどに設置して使ってみることにした。

設置はものの3分程と、ウルトラマンでも設置可能なシンプルさである。
見た目は、まぁ何というか工事現場ライクインダストリアル系・・・?
早速点火してみる。
細めの薪を何本か入れ、火の点いた新聞紙を投入する。
最初は煙が立ち上るのだが、程無くして薪に着火すると煙は少なくなってくる。
しばらくして勢いよく薪が燃えるようになってくると、ゴウゴウと音を出して燃えるようになってくる。
ペール缶の中をのぞくと、炎が煙突の方に吸引されるように流れており、それに伴い開口部から空気が吸い込まれ、中に酸素を供給しているようであった。
肝心の煙や火の粉はほとんど出ておらず、ガスは内部でしっかり二次燃焼されているようである。
パチッと薪が爆ぜても煙突からはほとんど火の粉が出てこない。
これはいい!
点火の際には火の粉に注意が必要だが、炎が安定してしまえばテントサイトで使用しても問題なさそうである。
日も暮れ、腹も空いてきたので調理に取り掛かる。
まずは冷えた体を温めるべくアヒージョを。
素材を切り分け味付けし、スキレットに投入しオリーブオイルを注ぐ。
男のカンタンキャンプ料理である。

アヒージョが出来上がるまでの時間で釣り上げたニジマスを捌いて刺身にする。
淡水魚の刺身、特に天然物は寄生虫感染のリスクが高いのでやるべきではない。
養殖物のトラウトなどは、ペレットで育てられているので寄生虫感染のリスクはほとんどない。
しかしこの個体は元は養殖であったものの、自然界に放流され一定の期間が経過した個体である。
本来ならば加熱して食べるべきである。
分かってはいるのだが、やはり生で食べたいという誘惑に勝てない野蛮人である。
どのみち近々寄生虫検査をする予定なので、ついでということで・・・。

これはこれは、何とも美味しそうな見た目でしょう。
身は透き通り、うっすらと蒲色を乗せている。
この身の色から察するに、野反湖にはニジマスの餌となる甲殻類が少ないに違いない。
サケ科の魚の身が赤いのは、甲殻類に含まれるアスタキサンチンという色素が由来である。
それらの餌の少ない水域では、サケ科の魚の身が赤くならないのだ。
おそらく野反湖では昆虫や小魚を主に食べているのではないかと思われる。
味の方はというと、養殖ペレット特有の臭みがなく、ありがちなカビ臭さのようなものも無い。
これは絶品である。
管理釣り場で釣ったニジマスの刺身とは、もはや雲泥の差である。
味見程度のつもりであったが、気が付けば全部平らげてしまっていた。
アヒージョもまた美味である。
旨みが滲み出たオイルは、バゲットに付けて食べるとこれまた美味しい。
たらふく食べ、中と外から温められて身も心もぽかぽかである。
熾火になった焚火を眺めながら、何を思うでもなくただ夜が更けゆくのを傍観する。
実に贅沢なひとときである。
息を吐くたびに、ヨレのようなものが緩んでいくのが分かる。
じっくりと焚火で暖めた体を寝袋にねじ込み、灯りを消す。
雨がフライシートを打つ音色が、なつかしい子守唄に聞こえてきた。

野反湖での釣りは天候悪化のため、午前中しか楽しめなかった。
その分、キャンプを満喫しようと考え、早々に準備に取り掛かる。
あらかじめオンラインで予約しておき、当日受付で利用料を支払う。
利用料はテント1張り1500円+1人につき500円、計2000円/泊である。
他にも受付には飲み物や薪などの販売もあり、便利である。
薪を2束購入し、荷物を持ってテントサイト(テン場)へ移動する。
リアカーを無料で貸してもらえるので、雨が降っていても荷物の運搬は割と楽である。
なぜリアカーを貸してもらえるのかというと、何を隠そうテン場までは受付から1km程山の中を歩いた先にあるのだ!
釣りの際、テン場まで行ったので分かるが結構遠い。
リアカーを曳きながら、えっちらおっちら雨で濡れた紅葉の山道を歩いていると、まるで心が洗われるようである。
空気も雨滴に洗われ、実にすがすがしい。
雨なら雨の楽しみを満喫するのもキャンプの醍醐味である。
いつ雨が上がるかも分からないので、なるべく雨の影響を受けない場所を探し、ぱぱっとテントを設営する。
キャンプサイトは平坦な更地ではなく、森の中に無造作に作られたような野趣溢れるスタイルである。
金が無く、採集の際よく山野で野宿をしていた頃を思い出す。
今回、キャンプをしようと思い立った理由は、釣りを満喫したいということもあるのだが、一番の理由はこれを使ってみたかったからである。
「ロケットストーブ焚火缶」
ロケットストーブとは、簡単に言うと、燃焼効率の良い煙や火の粉があまり出ないストーブの事であり、ロケットストーブ焚火缶とは、そのロケットストーブの簡易版のようなものである。
販売元のサイトはこちら http://liftoff.tokyo/shop/takibikan
テントの近くで焚火をすると、煙と火の粉が舞い、最悪テントに穴が開く事態と相成る。
焚火なんかしないでバーナーで料理すればいい。
確かにその通りだし、今までそうしてきた。
もちろん混雑したキャンプ場ではそんなわがままは言わない。
だが、今日のように貸し切り状態のキャンプ場や野宿の際など、焚火で暖を取りながら炎を眺め、ゆったりとした時間を過ごす。
齢のせいか近頃は、効率に縛られないキャンプがしたいと思うのである。
最初は焚火台を考えたが、火の粉が舞うのは直火でも焚火台でも同じである。
ということで辿り着いた焚火缶。
この焚火缶がロケットストーブとしての真価を発揮してくれれば、その悩みが解消するのだ。
本格的なロケットストーブをキャンプに持ち込むのは、手軽さの面から少し抵抗がある。
しかしこの焚火缶は、その簡易性によるコンパクトさが実に素晴らしい。
収納サイズは20Lペール缶1個と、本格的なストーブを持ち込むよりははるかにコンパクトである。
構造が簡易的過ぎて本当に用を為すのか心配である。
見た目はペール缶に煙突を突き立てただけに見え、すこぶる心許ない。
はたしてこれでちゃんとロケットストーブとして使えるのだろうか。
早速貸し切り状態のテントサイトで使いたかったが、雨はより強さを増していたため、調理場のかまどに設置して使ってみることにした。

設置はものの3分程と、ウルトラマンでも設置可能なシンプルさである。
見た目は、まぁ何というか
早速点火してみる。
細めの薪を何本か入れ、火の点いた新聞紙を投入する。
最初は煙が立ち上るのだが、程無くして薪に着火すると煙は少なくなってくる。
しばらくして勢いよく薪が燃えるようになってくると、ゴウゴウと音を出して燃えるようになってくる。
ペール缶の中をのぞくと、炎が煙突の方に吸引されるように流れており、それに伴い開口部から空気が吸い込まれ、中に酸素を供給しているようであった。
肝心の煙や火の粉はほとんど出ておらず、ガスは内部でしっかり二次燃焼されているようである。
パチッと薪が爆ぜても煙突からはほとんど火の粉が出てこない。
これはいい!
点火の際には火の粉に注意が必要だが、炎が安定してしまえばテントサイトで使用しても問題なさそうである。
日も暮れ、腹も空いてきたので調理に取り掛かる。
まずは冷えた体を温めるべくアヒージョを。
素材を切り分け味付けし、スキレットに投入しオリーブオイルを注ぐ。
男のカンタンキャンプ料理である。

アヒージョが出来上がるまでの時間で釣り上げたニジマスを捌いて刺身にする。
淡水魚の刺身、特に天然物は寄生虫感染のリスクが高いのでやるべきではない。
養殖物のトラウトなどは、ペレットで育てられているので寄生虫感染のリスクはほとんどない。
しかしこの個体は元は養殖であったものの、自然界に放流され一定の期間が経過した個体である。
本来ならば加熱して食べるべきである。
分かってはいるのだが、やはり生で食べたいという誘惑に勝てない野蛮人である。
どのみち近々寄生虫検査をする予定なので、ついでということで・・・。

これはこれは、何とも美味しそうな見た目でしょう。
身は透き通り、うっすらと蒲色を乗せている。
この身の色から察するに、野反湖にはニジマスの餌となる甲殻類が少ないに違いない。
サケ科の魚の身が赤いのは、甲殻類に含まれるアスタキサンチンという色素が由来である。
それらの餌の少ない水域では、サケ科の魚の身が赤くならないのだ。
おそらく野反湖では昆虫や小魚を主に食べているのではないかと思われる。
味の方はというと、養殖ペレット特有の臭みがなく、ありがちなカビ臭さのようなものも無い。
これは絶品である。
管理釣り場で釣ったニジマスの刺身とは、もはや雲泥の差である。
味見程度のつもりであったが、気が付けば全部平らげてしまっていた。
アヒージョもまた美味である。
旨みが滲み出たオイルは、バゲットに付けて食べるとこれまた美味しい。
たらふく食べ、中と外から温められて身も心もぽかぽかである。
熾火になった焚火を眺めながら、何を思うでもなくただ夜が更けゆくのを傍観する。
実に贅沢なひとときである。
息を吐くたびに、ヨレのようなものが緩んでいくのが分かる。
じっくりと焚火で暖めた体を寝袋にねじ込み、灯りを消す。
雨がフライシートを打つ音色が、なつかしい子守唄に聞こえてきた。

この記事へのコメント
すてきなレビューありがとうございました。
今後も投稿をお待ちしております。
今後も投稿をお待ちしております。
Posted by 学火舎 at 2018年01月14日 10:23