利根川河口でランカーシーバス
2017年11月12日
前日のスーパーボイルにすっかり興奮してしまったアルマスは、翌日も意気揚々と車を銚子へと走らせるのであった。
釣りにおいて、こうすれば確実に釣れるといった類のオカルトは存在しない。
しかし、前日に好釣だった場所では翌日も同様である確率はかなり高い。
釣りって大抵そんなものである。
はやる気持ちがはやりすぎたのだろうか、15時頃には現地に到着してしまった。
水面を覗き込むと、イナッコの群れがまさに海から遡上の真っただ中といった雰囲気である。
これは今日も期待できそうである。
ボイルはまだ見られない。
時合いまで適当にキャストしてみることにする。
レンジバイブでボトムから探ってゆく。
ボトム付近にはゴミが多いようで、キャスト毎にフックに枯れ葉などが付いてくる。
ルアーがゴミを拾わないようにボトムから少し浮かせて巻いていると、普段聞きなれないアタリがロッドに伝わってきた。
ファイトもゴミが泳いでいる、そんな不思議な感覚である。
上げてみると、何ともかわいい、30cmくらいのヒラメであった。
ヒラメと言えばボトムべったりの魚なイメージがあるが、水面付近のベイトにも果敢にアタックしてくる獰猛なフィッシュイーターである。

16時過ぎ、まだシーバスの気配はしない。
美味しそうなサイズのヒラメでも釣れないかとレンジバイブを投げていると、シーバスアングラー風の男が近づいてくる。
話しかけられるのかな?と思っていたら、5~6mの距離まで来たところで足を止め、そのままキャストを始めた。
おっ!とか言ってアワセを入れているようですが、それは小生めのルアーなのです。
連れとみられる女性にイイトコロを見せたい気持ちは分かりますが、他人のルアー釣るのって面白いのかな。
私の頭の中で大小さまざまなクエスチョンマークがスーパーボイルしていたが、冷静を装いさりげなく移動することにする。
気を取り直して釣りを再開。
ボトムのゴミを拾わないように、中層から下をリフトアンドフォールで探ってゆく。
相変わらずシーバスの気配はしないが、潮風を受け、夕日に照らされる海を眺めていると実に気持ちが良い。
時折水中でヒラを打つイナッコの銀色が、鏡のような水面から滲み出ては消えゆく蜃気楼のようで幻想的である。
心の中に鬱積した何かを溶かし崩すには、釣りとはまさに最適な趣味であると実感する。
特に魚からの反応は得られないが、むしろそれで良かったのだ。
釣りの楽しみというか、癒しをしばし堪能していると、中国語と思われる言語を話す3人組がこちらへと近づいてきた。
そして、私の真横3m程の位置に腰掛け、おもむろに餌釣りを始めたのだ。
何か話しかけられるのだろうか?私は内心ドキドキしていた。
釣る気がなさそうに適当にキャストを繰り返す私の姿が、傍から見て疲れた風であったのだろうか。
疲れた日本人の人生相談に来てくれたのかもしれない。
しかし彼らはそんなそぶりを見せる様子も無い。
こちらから話しかけるか?
しかし、私は生憎中国語が話せない。
恐らく彼らも日本語が話せないに違いない。
やり場の無い、違和感を孕んだ静寂が辺りを包み込む。
いろんな人がいるなぁ、と、心の中で呟く。
海は広く深い。まさに洸洋たる蒼海の有様である。
さすがは有名ポイント、釣り場があまりにもカオスなので時合まで車中で仮眠をとることにした。
少々の寝苦しさで眼を覚ますと既に陽は沈み、辺りは闇に包まれていた。
時間にして17時20分頃である。
しまった出遅れたと思ったが、水面を見ると未だボイルは発生していないようである。
今日はダメか?とも思ったが、タックルの準備をしながら暫く眺めていると、ボシュッ、ズボッ、っと、シーバスの捕食音がどこからともなく聞こえはじめた。
やがて、水面を割ってライズする個体も出始めた。
時合に突入のようである。
水面には下からの捕食圧に押されて浮いてきたイナッコたちがさざ波を立てて泳ぎはじめ、時折ザザッっとボイルする。
気付けばいたるところで大型個体のものと思われる派手なライズが連発しており、スーパーボイル状態へと移行していた。
前日に釣果を出してくれたスーサンのスーパーイナッコサンダラをボイルの先にキャストし、ゆっくりと漂わせる。
1投目から反応が得られた。
労も無く寄ってきたのはかわいらしいセイゴちゃん。
大型個体が豪快にライズしている中に、こんな小型個体も混ざっているのかと、少々意外であった。
むしろこのセイゴならベイト側のサイズである。

先程と同様のコースを通してゆく。
3投目、岸壁に近付き水面へ逃げるベイトをイメージして引いてくると、強烈な反転食いが竿先を引き込む。
合わせを入れてもそいつは動じない。
しかし、根掛かりではないのだ。
ルアーを捕食し、水中を悠々と遊泳する巨大な魚の振動が伝わってくる。
これはでかいぞ!と思った直後、まるでメーターオーバーハクレンのスレ掛かりのような強烈な突っ込みがドラグを鳴らす。
尾鰭一振りで移動する距離が、そこらのシーバスとは比較にならないくらい長い。
第一波を耐えても間髪いれず第二波、第三波と容赦の無い突っ込みがロッドを軋ませる。
思わず「ヤバい、うおぉぉ」と声に出てしまったほどである。
例によってナイロン8lb直結なので、油断すれば瞬時にラインブレイクするのは必至。
魚体の向きや動きに応じてのロッドワークはもちろん、こまめにドラグを調整しながらファイトする。
先日のルック針バラし祭りが頭をよぎるが、今日はまともなフックで挑んでいるのでバラすようなヘマはしないつもりである。
10分を過ぎた辺りから腕が痛くなってくる。
ヤツもだいぶ体力を消耗し、おとなしくなってきた。
ゆっくりと水面に浮かんできた個体は長さもさることながら、まるでマグロのような極太個体であった。
まさに「でかい」の一言である。
ランディングネットを伸ばし、何とかネットインするも重くてなかなか持ち上がらない。
フレームが重さに耐えかね軋んでいるのが分かる。
ゆっくりと引き上げ、目の前に上がってきたのは今まで見たこともない体型のシーバスであった。

はち切れんばかりに膨らんだ腹は、産卵を控えて大量のベイトと脂肪、そして配偶子で満たされていることだろう。
写真ではいまいち伝わってこないが、体高はもちろん体幅もかなりの厚みである。
目の前にした印象は、シーバスと言うよりは大型のハタ類やアカメなどを彷彿とさせる容姿である。
長さは87cmといったところだろうか。
体長はそこまで大きくはないものの、このような見事なプロポーションのシーバスと出会うことができたことは、まさに至福の喜びである。
スーサンのフックを確認すると、若干曲がっていたため念のため交換する。
今しがた釣った場所は巨大シーバスとのファイトで場荒れしていると思われたので、少し移動してキャストする。
ボイルの向こうへ着水させ、ベイトの群れの下をゆっくりと引いてくる。
数投するもなかなかヒットしない。
どうも、先ほどよりもベイトが増えているようで、シーバスからすれば餌食べ放題の中わざわざルアーなんて追わないような状態になっているに違いない。
いわゆる、釣れないイナッコパターンというやつである。
それでもまぁ、ちらほらは釣れてくる。




しかし、先程のようなランカーサイズに出会うことは無く、少しずつ水面は静かになっていった。
時間にして17:30~19:30の2時間、うちスーパーボイル状態であったのは19時過ぎまでであった。
さすがは大河川利根川の河口部である。
シーバスの数、サイズ共に中流域とは比べ物にならないくらい豊かである。
近場でお茶を濁すだけではなく、積極的に通えばメーターオーバーも夢ではないかもしれない。
我が家から車で2時間と、通うには少々遠いのがネックである。
関東の台所を支える銚子界隈。
海産物の美味しそうな店などをあらかじめ調べてから来るなど、釣り以外の楽しみをいくつか持っておくと通うモチベーションにも繋がりそうである。
ちなみに、この日の釣果をキャスティング釣り自慢に投稿しておいたところ、2017年のシーバス大賞に選んでもらえたようである。
魚体のみを撮影した只の記録写真だったので、コンテストとか入賞とか全く意識していなかっただけに寝耳に水と言うか何というか。
釣り自慢2017年シーバス大賞のサイト
何はともあれキャスティングさん商品ありがとうございます。

******* タックル *******
ロッド スミス ブローショット GSX-77
リール シマノ 17アルテグラ3000XG
ライン APPLOUD GT-R ULTRA 8lb
ルアー スーサン/スーパーイナッコサンダラ
*******本日の釣果*******
シーバス
50cm未満 5匹
80cmUP 1匹(87)

前日のスーパーボイルにすっかり興奮してしまったアルマスは、翌日も意気揚々と車を銚子へと走らせるのであった。
釣りにおいて、こうすれば確実に釣れるといった類のオカルトは存在しない。
しかし、前日に好釣だった場所では翌日も同様である確率はかなり高い。
釣りって大抵そんなものである。
はやる気持ちがはやりすぎたのだろうか、15時頃には現地に到着してしまった。
水面を覗き込むと、イナッコの群れがまさに海から遡上の真っただ中といった雰囲気である。
これは今日も期待できそうである。
ボイルはまだ見られない。
時合いまで適当にキャストしてみることにする。
レンジバイブでボトムから探ってゆく。
ボトム付近にはゴミが多いようで、キャスト毎にフックに枯れ葉などが付いてくる。
ルアーがゴミを拾わないようにボトムから少し浮かせて巻いていると、普段聞きなれないアタリがロッドに伝わってきた。
ファイトもゴミが泳いでいる、そんな不思議な感覚である。
上げてみると、何ともかわいい、30cmくらいのヒラメであった。
ヒラメと言えばボトムべったりの魚なイメージがあるが、水面付近のベイトにも果敢にアタックしてくる獰猛なフィッシュイーターである。

16時過ぎ、まだシーバスの気配はしない。
美味しそうなサイズのヒラメでも釣れないかとレンジバイブを投げていると、シーバスアングラー風の男が近づいてくる。
話しかけられるのかな?と思っていたら、5~6mの距離まで来たところで足を止め、そのままキャストを始めた。
おっ!とか言ってアワセを入れているようですが、それは小生めのルアーなのです。
連れとみられる女性にイイトコロを見せたい気持ちは分かりますが、他人のルアー釣るのって面白いのかな。
私の頭の中で大小さまざまなクエスチョンマークがスーパーボイルしていたが、冷静を装いさりげなく移動することにする。
気を取り直して釣りを再開。
ボトムのゴミを拾わないように、中層から下をリフトアンドフォールで探ってゆく。
相変わらずシーバスの気配はしないが、潮風を受け、夕日に照らされる海を眺めていると実に気持ちが良い。
時折水中でヒラを打つイナッコの銀色が、鏡のような水面から滲み出ては消えゆく蜃気楼のようで幻想的である。
心の中に鬱積した何かを溶かし崩すには、釣りとはまさに最適な趣味であると実感する。
特に魚からの反応は得られないが、むしろそれで良かったのだ。
釣りの楽しみというか、癒しをしばし堪能していると、中国語と思われる言語を話す3人組がこちらへと近づいてきた。
そして、私の真横3m程の位置に腰掛け、おもむろに餌釣りを始めたのだ。
何か話しかけられるのだろうか?私は内心ドキドキしていた。
釣る気がなさそうに適当にキャストを繰り返す私の姿が、傍から見て疲れた風であったのだろうか。
疲れた日本人の人生相談に来てくれたのかもしれない。
しかし彼らはそんなそぶりを見せる様子も無い。
こちらから話しかけるか?
しかし、私は生憎中国語が話せない。
恐らく彼らも日本語が話せないに違いない。
やり場の無い、違和感を孕んだ静寂が辺りを包み込む。
いろんな人がいるなぁ、と、心の中で呟く。
海は広く深い。まさに洸洋たる蒼海の有様である。
さすがは有名ポイント、釣り場があまりにもカオスなので時合まで車中で仮眠をとることにした。
少々の寝苦しさで眼を覚ますと既に陽は沈み、辺りは闇に包まれていた。
時間にして17時20分頃である。
しまった出遅れたと思ったが、水面を見ると未だボイルは発生していないようである。
今日はダメか?とも思ったが、タックルの準備をしながら暫く眺めていると、ボシュッ、ズボッ、っと、シーバスの捕食音がどこからともなく聞こえはじめた。
やがて、水面を割ってライズする個体も出始めた。
時合に突入のようである。
水面には下からの捕食圧に押されて浮いてきたイナッコたちがさざ波を立てて泳ぎはじめ、時折ザザッっとボイルする。
気付けばいたるところで大型個体のものと思われる派手なライズが連発しており、スーパーボイル状態へと移行していた。
前日に釣果を出してくれたスーサンのスーパーイナッコサンダラをボイルの先にキャストし、ゆっくりと漂わせる。
1投目から反応が得られた。
労も無く寄ってきたのはかわいらしいセイゴちゃん。
大型個体が豪快にライズしている中に、こんな小型個体も混ざっているのかと、少々意外であった。
むしろこのセイゴならベイト側のサイズである。

先程と同様のコースを通してゆく。
3投目、岸壁に近付き水面へ逃げるベイトをイメージして引いてくると、強烈な反転食いが竿先を引き込む。
合わせを入れてもそいつは動じない。
しかし、根掛かりではないのだ。
ルアーを捕食し、水中を悠々と遊泳する巨大な魚の振動が伝わってくる。
これはでかいぞ!と思った直後、まるでメーターオーバーハクレンのスレ掛かりのような強烈な突っ込みがドラグを鳴らす。
尾鰭一振りで移動する距離が、そこらのシーバスとは比較にならないくらい長い。
第一波を耐えても間髪いれず第二波、第三波と容赦の無い突っ込みがロッドを軋ませる。
思わず「ヤバい、うおぉぉ」と声に出てしまったほどである。
例によってナイロン8lb直結なので、油断すれば瞬時にラインブレイクするのは必至。
魚体の向きや動きに応じてのロッドワークはもちろん、こまめにドラグを調整しながらファイトする。
先日のルック針バラし祭りが頭をよぎるが、今日はまともなフックで挑んでいるのでバラすようなヘマはしないつもりである。
10分を過ぎた辺りから腕が痛くなってくる。
ヤツもだいぶ体力を消耗し、おとなしくなってきた。
ゆっくりと水面に浮かんできた個体は長さもさることながら、まるでマグロのような極太個体であった。
まさに「でかい」の一言である。
ランディングネットを伸ばし、何とかネットインするも重くてなかなか持ち上がらない。
フレームが重さに耐えかね軋んでいるのが分かる。
ゆっくりと引き上げ、目の前に上がってきたのは今まで見たこともない体型のシーバスであった。

はち切れんばかりに膨らんだ腹は、産卵を控えて大量のベイトと脂肪、そして配偶子で満たされていることだろう。
写真ではいまいち伝わってこないが、体高はもちろん体幅もかなりの厚みである。
目の前にした印象は、シーバスと言うよりは大型のハタ類やアカメなどを彷彿とさせる容姿である。
長さは87cmといったところだろうか。
体長はそこまで大きくはないものの、このような見事なプロポーションのシーバスと出会うことができたことは、まさに至福の喜びである。
スーサンのフックを確認すると、若干曲がっていたため念のため交換する。
今しがた釣った場所は巨大シーバスとのファイトで場荒れしていると思われたので、少し移動してキャストする。
ボイルの向こうへ着水させ、ベイトの群れの下をゆっくりと引いてくる。
数投するもなかなかヒットしない。
どうも、先ほどよりもベイトが増えているようで、シーバスからすれば餌食べ放題の中わざわざルアーなんて追わないような状態になっているに違いない。
いわゆる、釣れないイナッコパターンというやつである。
それでもまぁ、ちらほらは釣れてくる。




しかし、先程のようなランカーサイズに出会うことは無く、少しずつ水面は静かになっていった。
時間にして17:30~19:30の2時間、うちスーパーボイル状態であったのは19時過ぎまでであった。
さすがは大河川利根川の河口部である。
シーバスの数、サイズ共に中流域とは比べ物にならないくらい豊かである。
近場でお茶を濁すだけではなく、積極的に通えばメーターオーバーも夢ではないかもしれない。
我が家から車で2時間と、通うには少々遠いのがネックである。
関東の台所を支える銚子界隈。
海産物の美味しそうな店などをあらかじめ調べてから来るなど、釣り以外の楽しみをいくつか持っておくと通うモチベーションにも繋がりそうである。
ちなみに、この日の釣果をキャスティング釣り自慢に投稿しておいたところ、2017年のシーバス大賞に選んでもらえたようである。
魚体のみを撮影した只の記録写真だったので、コンテストとか入賞とか全く意識していなかっただけに寝耳に水と言うか何というか。
釣り自慢2017年シーバス大賞のサイト
何はともあれキャスティングさん商品ありがとうございます。

******* タックル *******
ロッド スミス ブローショット GSX-77
リール シマノ 17アルテグラ3000XG
ライン APPLOUD GT-R ULTRA 8lb
ルアー スーサン/スーパーイナッコサンダラ
*******本日の釣果*******
シーバス
50cm未満 5匹
80cmUP 1匹(87)
